10 エドワード8世 (1894年~1972年)




~身分差別を乗り越えて結婚の自由のために王位を捨てたイギリス国王~




 歴代のイギリス国王の中で、その生き方に共感できる人物を一人だけあげるならば、僕は迷わずエドワード8世をあげます。



 なぜでしょうか。



 彼は国中から差別を浴びせられてもそれに屈せず、自由のために闘いぬいた人物だと思うからです。


 中学校や高校の歴史の教科書にはほとんど登場しません。



 いったい彼はどんな差別を受けたのでしょうか。

 そして、彼が求めた自由とは何だったのでしょうか。



 彼がエドワード8世として即位したのは、父ジョージ5世の死を受けた1936年1月21日のことです。

 皇太子時代から気さくな人柄で、国民の人気も抜群でした。



 独身時代が長く、結婚相手と出会ったときは36歳になっていました。

 相手は2歳年下の34歳でした。



 ところが、突然 「王冠をかけた恋」

 という名のスキャンダルが世界を駆けめぐり、イギリス王室はもとより、内閣、マスコミに至るまで騒然となりました。



 たくさんの人々がこの結婚を妨害したのです。

 結婚相手の女性の名は、ウォリス・シンプソンといいます。



 エドワード8世はこのウォリスとの結婚をあきらめるように、事実上強制されたのでした。

 では、なぜ彼が彼女との結婚をあきらめなければならないのでしょうか。



 それはウォリスは離婚経験者だったからです。

 イギリス王室の規則では、国王は離婚経験者とは結婚できないことになっていました。



 王室関係者全員が、エドワードの結婚に反対しました。



 でも、この規則自体が差別的だと感じるのは僕だけでしょうか。



 ウォリスは2度の離婚歴があります。



 離婚がなぜいけないのでしょうか。

 再婚をして人生をやり直そうとすることが、なぜいけないのでしょうか。



 王室だけでなく、当時の内閣まで結婚しないように迫ります。



 首相ボールドウィンは

 「2度の離婚歴をもつ女性に王妃の称号を認めるわけにはいかない」

 とつきつけ、議会までもが圧倒的多数で首相の意向を支持したのです。



 国王の結婚をなぜ祝福できないのでしょうか。

 あげくの果てに、イギリスのマスコミはウォリスについて



 「アメリカの売春婦をやっつけろ」

 とバッシングしました。



 これは、公然と人権侵害が行われたということではないでしょうか。

 それでもエドワードは引き下がりません。



 人間であるならば、結婚は自由でしょう。

 彼は国王をやめてウォリスとの結婚に踏み切ったのです。



 愛のために王位を捨て、 「人間として」 生きることを選んだのです。

 それにしても、エドワードにとってウォリスにはどんな魅力があったのでしょうか。



 この答えは初対面のときの二人の会話に凝縮されていると思います。



 「お国にあるようなセントラルヒーティングが、イギリスにはないので、さぞご不自由でしょうね」

 『ちょっとがっかりしましたわ』



 「それはなぜです?」

 『イギリスの方は決まって同じことをおっしゃいますのよ。



 殿下はもっとユニークなことをおっしゃる方だと思っておりましたのに』



 エドワードはお世辞に慣れていてうんざりしていました。

 でも、ウォリスにはそれがないのです。



 何とリラックスしているのでしょうか。

 気取らず、飾り気のない物言い、暖かみのある態度。



 彼は初めて自分を 「人間扱い」 してくれる女性に出会ったのです。

 それまでに多くの女性とのつき合いはありましたが、社会的地位が優先し、むなしさを感じていたのです。



 エドワードは、生涯で唯一 「本気」 で愛する女性に出会いました。

 特に社会的地位もなく、美人ともいわれないアメリカの平民で、離婚経験もある女性を最後まで愛し続けました。



 結婚の自由を勝ち取った彼の生き方と人間味豊かな行動。

 彼の理解者はイギリスだけでなく、世界中でふえ続けているのではないでしょうか。

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