7 JSミル (1806年~1873年)




~女性の解放をとなえたイギリスの男性哲学者~




 「差別はされる側の問題ではなく、する側の問題である」ということを自信をもって言えますか。


 僕はこう言えるようになるまで、かなりの長い年月を費やしたと思います。



 僕は中学校の社会科教員をやっていますが、同時に同和教育主任という仕事もしています。



 同和教育の授業をするときに、この 「差別はする側の問題」 ということを教え子たちが最もよく理解してくれる例は女性差別です。



 「女性差別は誰の問題ですか」

という問いの答えは、すばり



「男性の問題」です。



 多くの場合、女性の問題ではなくて、男性の問題ですね。



  つまり 「する側の問題」 なのです。



 この女性差別の解放を唱えた男性がJSミルです。

 中学校の歴史教科書では出てきませんが、高校の世界史では一言だけ出てきます。



むしろ高校の倫理の方で具体的に学習する人物です。



 僕は哲学はあまり得意ではありませんが、JSミルは 「功利主義」 という考え方の人物として説明されます。

利己的快楽の追求と社会全体の幸福との調和をはかろうとする考え方です。



 彼が生きた時代のイギリスは、産業革命の影響で資本主義経済が大きく発展していましたが、同時に多くの社会問題も発生していました。



 ミルはこの社会問題に強い関心をもち、特に労働者の保護や女性の解放に力を尽くした人です。


 世界的に優れた哲学者・経済学者であると同時に、人権感覚豊かな解放者でもある、と僕は考えています。



 JSミルは1806年、ロンドンで生まれました。

3歳でギリシア語を、8歳でラテン語をマスターした天才です。



 14歳ではフランスに学び、功利主義者としての思想を確立しています。



 24歳で人妻のティラー夫人と恋愛関係になり、この恋愛は長く続きました。

社会から多くの非難を受けましたが、1851年、正式に結婚しました。



 その8年後に彼は 「自由論」 という本を書いています。


 彼は被差別の立場に立てる人ではないでしょうか。



 僕がこう考える根拠は、労働者の団結権を擁護したこと、労働者の選挙権拡大と婦人参政権を主張したことなどにあります。



 さらに 「自由論」 の中では 「権力からの自由」 と同時に

「社会の多数派の横暴からの自由」



を強調しています。



 イギリスは産業革命で婦人問題も発生していました。

 過酷に働かされる悲惨な婦人が増大し 「婦人の隷属」 という状態になっていました。



婦人の解放は人類向上に必要という考えをもち、婦人解放運動にも取り組みました。



 具体的には1867年、JSミルは下院の第二次選挙法改正をめぐる討議において、イギリス憲政史上初めての女性参政権を要求する修正動議を提出しました。



 また、彼の著書 「女性の解放」 は女性解放の古典とも呼ばれます。

 イギリスでは反論もありました。



実際それまでに女性による知的あるいは創造的業績が少ないではないかというものです。



 これに対してミルは、教育を受ける機会が少なかったこと、家庭生活に関するさまざまな雑務に追われて、こうした分野に従事する時間がなかったことを指摘しています。



 このことは結局社会に不利益をもたらすとしました。



 男女平等。



 現在では広く認められ、基本的人権の中の重要なものの1つとして、さまざまな場面で具体的に意識されるようになりつつあります。



 男性が、女性支配のための道具として長い間利用してきた女性差別。


 この差別意識を乗り越えなければならないのは、例外はありますが、多くの場合、男性なのです。



そして僕もそうですが、JSミルもまぎれもない男性の一人です。
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