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~日本はほとんど戦争に負けたことがない~


 小学生の時でした。同級生の一人で山崎君(仮名)という生徒がいました。

彼は歴史が大好きな少年で、よく歴史年表を見ていました。


教室には長くて大きな、常に掲示されている歴史年表があったのです。

まだ歴史を学んだことがなかった僕は、不思議そうに眺めていたのでした。


「これはいったい、何だろう」

この無知な僕に、初めて歴史の講義をしてくれたのは彼でした。


「日本は、ほとんど戦争に負けたことがないよ。負けたのは第二次世界大戦ぐらいだね」

 僕が初めて歴史というものに触れた瞬間です。


「日本って強くて偉い国なのだな」


今から思えば、変な優越感が沸き起こり、この優越感が長く僕の歴史学習の根底に

横たわり続けることになりました。


国際理解などとは、ほど遠い感覚ですね。

日本中心の歴史ばかりを学び、外国はすべて敵のように見えてしまったのです。


日本だけが正義で、外国を見下す意識ができあがってしまったのです。

中国や韓国、北朝鮮などは、特にその意識の対象になりました。


これは大きな誤解であることは明白ですが、残念なことに当時の僕には、この不適切な外国人差

別に気付くことはできませんでした。


戦争という最大の人権侵害が、歴史学習の基本になってしまったのです。


今でもこんな感覚で歴史を学んでいる人は、けっこういるのではないでしょうか。

だから僕は、高校生になったとき、世界史で苦労をしました。


日本中心の戦いというものに興味を持っていたからです。

中国の中華思想にも似ているところがありますね。


当時の僕のかたよった歴史観は、数々のテレビ番組からの影響もあったと思います。


その中の代表例がプロレスでしょう。

力道山というスーパースターがいました。


空手チョップが得意な、強くてとても人気のあるプロレスラーでした。


でもよく考えてみると、テレビに映る彼の対戦相手は、アメリカをはじめとする外国人レスラー

ばかりで、試合中に反則攻撃をするのも外国人レスラーでした。


ファンの自由とはいえ、これでは 「正義は日本、外国は敵」 という意識に

拍車をかけてしまいますね。


僕の外国人に対する差別意識は、このようにしてますますエスカレートしていったのです。


外国人差別と似ているのが民族差別です。

この差別に負けず、乗り越えていった世界史上の有名人がいます。


アインシュタインです。


「相対性理論」 を唱えたノーベル物理学賞の受賞者で、20世紀最大の物理学者

として知られる人物ですね。


同時に彼は、戦争を否定した科学者としても広く知られています。

第一次世界大戦のときのアインシュタインの言葉をご存知でしょうか。


「科学は平和のためにこそ戦うべきです」 

とても共感できますね。


アインシュタインは、ドイツで生まれ育ったユダヤ人です。


大学卒業後の就職がなかなかうまくいかなかったのは、ユダヤ人に対する

就職差別ではなかったかと彼は悟っています。


それどころか、彼は命さえも狙われる危険な状態になってきました。

ヒトラーで有名なナチスです。


数百万人もの多くの人が、ただユダヤ人であるという理由だけで殺されました。

恐ろしいことですね。


アインシュタインの決断は、アメリカ移住です。

こうして命の危険が迫る差別をかわしました。


差別と正面から闘って、勝ち目があるときはよいでしょう。

しかし、全く勝ち目がないときはいったん逃げて、別の方法で闘うことも重要です。


彼の場合は 「ラッセル=アインシュタイン宣言」 でしょう。

核兵器廃絶を世界に訴えたのです。


こうして、差別意識による命の危険から解放された人生を

アメリカという新世界で全うすることができました。


僕ももっと早く、アインシュタインの解放された思想に出会うことができたら、

悩みはもっと少なくなっていたのではないかと考えています。
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~道で偶然出会った白人~



 「わっ!白い人形がしゃべりながら歩いている。気持ち悪いなあ」

僕が幼年時代に、初めて白人に遭遇した時の正直な気持ちです。



 当時住んでいたところは名古屋。自宅のすぐ近くの道端でのでき事でした。

「こんな人間がいるわけがない」 とも思いました。



 あまりの驚きに、僕はしばらくの間声も出ず、じっと彼女らを観察していました。

金髪の若い女性2人です。その時の結論です。 



 「やっぱり人形じゃない、人間なのだ」



 時は昭和時代の中期。カラーテレビなどいうものはなく、全部白黒テレビでした。

写真も全部白黒。色彩ということに関する生活経験は、大いに不足していました。



 当時の僕は正確には思い出せませんが、幼稚園か小学校の低学年だったと思います。

あれから約半世紀。まだ覚えているということは、よほどショックで印象に残ったということですね。



 髪の毛の色は、黒に決まっている。それ以外の色は、変だと感じていたのです。

僕が残念だったことは、周りにいた大人たち。その多くが外国人を嫌う発言をしていたことです。



 第二次世界大戦の影響なのでしょうか。外国は敵、日本が一番偉いとまで思っていました。

これは間違った愛国心でしょう。戦争の第一歩ですね。



 戦争の漫画や映画もはやっていました。

外国人も日本人と同じ人間であり、対等につき合える仲間にもなれるのだという意識は、極めて希薄でした。



 かくして僕は、異人種を理解しようとしない外国人差別者になっていったことに、気付くことができませんでした。

その後の数十年、長い長い差別意識の始まりです。



 歴史上の人物に、この外国人差別を乗り越えた人がいます。約2,000年前に生きたペテロです。

 イエス=キリストの12人の弟子の一人で、初代のローマ教皇になった人物と言われています。



 日本では、まだ弥生時代ですね。



 ユダヤ人として生きてきたペテロですが、当時のユダヤ教の律法で禁止されていることがありました。

外国人と食事をすることです。しかし彼は、その禁止事項にとらわれませんでした。



 「神はわたしに幻を示して、外国人だからといって区別をしてはならないと教えてくださいました。

 どこの国の人でも、神を信じる正しい人ならば神に受け入れられるのです」


 僕はクリスチャンではありませんが、ペテロの外国人を受け入れるという意識に共感しています。

当時のユダヤ教の律法は外国人差別をしていて、ペテロはこの差別意識を乗り越えて解放されたのです。



 常に多くの貧しい人々の立場に立った生き方は、とても魅力的です。

だから、迫害されても信者はどんどん増えていったのでしょう。



 時のローマ帝国の皇帝ネロの命令により、ペテロは処刑されてしまいました。

しかしキリスト教は滅びず、313年、ついにコンスタンティヌス帝により、キリスト教はローマ帝国で公認されたのです。



 ちなみにペテロを処刑した皇帝ネロは、その後まもなくして自殺に追い込まれることになりました。

差別はする側が不幸になる典型例ですね。



 「剣によって立つものは剣によって滅びる」 まさに、イエス=キリストの言うとおりになっています。



 僕が幼年時代に、イエスやペテロのような、解放された人たちに出会うことができたらどうだったでしょうか。

少なくとも、外国人差別からは解放され、異人種を理解しようとする人間になれたかも知れませんね。



 そうすれば、悶々とした原因不明の苦しみは減り、人間の違いを楽しめる生き方ができたのではないでしょうか。
第5集 差別意識からの解放「現代編」


                        目  次



はじめに

第1章 昭和中期

1 外国人差別(1)  ペテロ           ~道で偶然出会った白人~

2 外国人差別(2)  アインシュタイン      ~日本はほとんど戦争に負けたことがない?~

3 人種差別      キング牧師         ~土人とだっこちゃん~

4 社会的身分差別(1)山県有朋          ~なぜ学級委員バッジがあったのか~

5 社会的身分差別(2)司馬遷           ~小学校時代に横行していた体罰~

6 女性差別      JSミル          ~女は運動も勉強も劣る?~

7 在日韓国人差別   柳宗悦           ~○○町はいかんで、あいつら朝鮮だ?~

8 地域差別(1)   謝花昇           ~名古屋弁はいかんで?~

9 地域差別(2)   ワシントン         ~大都市に住む優越感~

10 いじめ       野口英世          ~僕につけられた嫌なあだ名~

11 学歴差別      北里柴三郎         ~小学校卒業後、大学までの進学先を公開~

第2章 昭和後期

1 学歴差別(1)   ニュートン         ~制服の色が違う特別な中学校~

2 学歴差別(2)   田中角栄          ~大学合格者を新聞が発表~

3 学歴差別(3)   フリードリヒ・ヴィーク   ~キセル乗車を学校名から許した~

4 学歴差別(4)   夏目漱石          ~聞きもしないのに「おかげさまでS大に合格」~

5 学歴差別(5)   ヨハン・ベートーヴェン   ~第1、第2希望校だった高校の教科書~

6 学歴差別(6)   藤原頼長          ~「追いつけ、追い越せ」「私が勤めていた○○高校」~

7 学歴差別(7)   大隈重信          ~お前らは○○に感謝すべきだ。でないと今頃は~

8 学歴差別(8)   福沢諭吉          ~A高に生きA高に死す「こんなところで死ねるか」~

9 学歴差別(9)   葛飾北斎          ~女子の制服は差別の象徴?~

10 学歴差別(10)   菅原道真          ~私の分身が○○高校にいる~

11 学歴差別(11)   林羅山           ~人に出身校を言える大学に入れ~

12 学歴差別(12)   ガリレイ          ~名古屋駅で絶交した友人の一人~

13 学歴差別(13)   緒方洪庵          ~自分の子どもに知能テストの練習をさせた大学教授~

14 地域差別(1)   藤原広嗣          ~家は○○です。田舎者ですがよろしくお願いします~

15 地域差別(2)   フランクリン        ~上京した甥に東京を威張る知り合いの叔父~

16 社会的身分差別(1)宋江            ~偉いと思っていた生徒会役員バッジ~

17 社会的身分差別(2)シャカ           ~神様、天皇、平民、虫けら~

18 社会的身分差別(3)陳勝            ~単位を後輩に取らせる部活動のOB~

19 社会的身分差別(4)陶淵明           ~大会のチケットを後輩に強制的に買わせる先輩~

20 いじめ(1)    留岡幸助          ~合宿に行く列車で歌、着いたらセミをさせる先輩~

21 いじめ(2)    平塚雷鳥          ~裸にされて部活動をやめた1年生~

第3章 昭和末期

1 学歴差別(1)   森律子           ~学校要覧に職員の出身大学名を記載~

2 学歴差別(2)   滝川幸辰          ~2種類の生徒の発言「すげー」と「三流」~

3 社会的身分差別(1)クリスティーナ女王     ~指導主事の見送り強制「そういうもんだ」~

4 社会的身分差別(2)エドワード8世       ~教務が年度途中で教頭へ、囲む会で胴上げ~

5 社会的身分差別(3)シエイエス         ~○○会なんて新潟県教育界のガンだ。やめます~

6 社会的身分差別(4)前田慶次          ~臨時教員を見下したために食らった痛い一撃~

7 社会的身分差別(5)マルクス          ~体罰に対して「先生いいよ、オレが悪い」~

8 社会的身分差別(6)司馬談           ~カン違いの校長が週3回の全校朝会とボーナス渡し~

9 社会的身分差別(7)陳独秀           ~お前は先輩の言うことを聞かん~

10 社会的身分差別(8)勝海舟           ~3年たってやっと○○会を退会、ハンコをついた~

11 社会的身分差別(9)大塩平八郎         ~前校長宅詣で、「お前それだけやれ」~

12 社会的身分差別(10)大竹与茂七         ~体罰、親の前で子どもにビンタ~

13 社会的身分差別(11)ヘロデ王          ~体罰、修学旅行で正座、スリッパはたき~

14 部落差別      阪本清一郎         ~「おい、同和問題はないだろうな」「ねえよ」~.

第4章 平成初期

1 部落差別(1)   西光万吉          ~初めて会った人「どこかちがうのではないか?」~

2 部落差別(2)   ゾフィー大公妃       ~教育集会所での研修後「そんなこと言ったって」~

3 社会的身分差別(1)足利義昭          ~「第11代校長○○」退職後に自分を囲む会を強制~

4 社会的身分差別(2)行基            ~自費出版の本を売りさばかせる退職校長~
 
5 社会的身分差別(3)イブラヒム1世       ~賞状伝達、生徒を降壇させてから礼~

6 社会的身分差別(4)玄奘            ~教頭が部下を連れて校長宅詣で2回~

7 いじめ       板垣退助          ~「集落のことについてはオレの方が先生だ」~

8 学歴差別      レオポルト・モーツアルト  ~「先生、お母さんがA高校受けさせてくれない」~

9 職業差別      ナイチンゲール       ~教員なんていらねーんだよ。命令ばかりだからな~

10 排除の差別     シャクシャイン       ~「彼らの研修会に参加したら変な顔された」~

第5章 平成 10年代

1 社会的身分差別    ラファイエット      ~校長室に歴代校長の写真がない~ 

2 障がい者差別     孫臏           ~あびせられた痛恨の一言「バカにするな」~

3 水俣病患者差別    田中正造         ~当事者の証言 結婚差別と投石~

4 部落差別(1)    孝明天皇         ~施設でのコーヒー「ケガレてないか?」~

5 部落差別(2)    平清盛          ~「やかましいからあまりかかわったらいかんで」~

6 部落差別(3)    石川一雄         ~「まだ間に合います」大川原さんいい目してるよ~

7 部落差別(4)    松本治一郎        ~「先生、勉強おせーて」~

8 部落差別(5)    幸徳秋水         ~ガードレールで遮断され橋がない~

9 部落差別(6)    マンデラ         ~校長室監禁事件~

10 排除の差別      斎藤きち         ~高校入試判定会議からの排除~

第6章 平成 20年以後

1 障がい者差別(1)  アニー・サリバン     ~1時間1時間 二人別々の教材を作成~

2 障がい者差別(2)  伊達政宗         ~自習監督のために特別支援の授業をつぶされかけた~

3 障がい者差別(3)  ベートーヴェン      ~こだわる保護者「あそこはバカが行くところだ」~

4 在日外国人差別(1) 楠本イネ         ~外国人の妻に内緒で財産を弟へ移動~

5 在日外国人差別(2) 望月かず         ~集落の行事に外国人を参加させようとしない~

6 原爆被爆者差別(1) 白洲次郎         ~親の被爆を知り彼女と別れる~

7 原爆被爆者差別(2) 宮崎松記         ~婚約が決まると被爆を問われることがある~

8 ハンセン病患者差別  神谷美恵子        ~握手できなかった被差別部落の講演者~

9 社会的身分差別(1) シャルロット皇后     ~免許更新講習で自慢話の特任教授~

10 社会的身分差別(2) 中江兆民         ~2年ごとに集まっても対等な有志の同窓会~

11 部落差別       牧野伸顕         ~部落解放人権政策確立要求新発田市実行委員会~

12 在日韓国人差別    田内千鶴子        ~○○君の母さん韓国人~

13 女性差別       吉岡弥生         ~ネパール西部の生理小屋~





<訪問者の皆様へ>

 僕の記事にアクセスしていただき、誠にありがとうございます。

 現時点で、僕が体験、見聞したここ半世紀の差別意識に関する事例は、上記の79点です。

 ゆっくりと一人ずつ、解放をテーマにした人物エッセイを発行します。

 気長にお付き合いいただければ幸いです。是非、応援してください。
第5集 差別意識からの解放「現代編」


はじめに


 差別意識とは、一言でいうと 「人を見下す意識」 です。見下す側もされる側もどちらも不幸になる事例は、日本史、世界史上を問わずあまりにもたくさんあります。


 不幸になることに気づいていれば、わざわざ差別をしないでしょう。ところが多くの場合、たとえ悪気はなくても気づいていないのです。僕自身の前半生の生き方は、まさにその典型だと思います。


 人間なら差別をしたり、されたりという経験は誰にでもあると思います。歴史上にも数多く存在しますし、僕自身もちょっと振り返ってみただけで、79事例も出てきました。差別だらけですね。


 「差別の多重性」という言葉をご存知でしょうか。簡単に言えば、一人の人間が差別をされていると同時に、別の差別ではする側になっているということです。


 ある場面では差別者、別の場面では被差別に、あるいは傍観者にもなり、複雑に絡み合って一様ではないということを意味しています。僕のここ数十年の生き方を見てみただけでも、次から次へとこの多重性の具体例に行き当たります。


 だから、幸福を感じずに、苦しみに悶々としていた場面がとても多かったです。今になって、それらの原因にやっと気付き始めたのです。


 世界史上に、このわかりやすい事例があります。正確な人数は不明ですが、南アフリカの黒人男性たちの一部です。彼らは長い間、白人たちから強烈な人種差別を受けていました。アパルトヘイトという人種隔離政策ですね。


 わずかな白人たちが政権を握り、大多数の黒人たちを奴隷のように支配していました。世界中の国々から非難され、国際連合でも非難決議をしたほどです。


 黒人たちの粘り強い解放運動によって、アパルトヘイトは終わりました。その結果、ネルソン・マンデラが初の黒人大統領に就任して、黒人政権が誕生したのでした。


 しかし、それだけではありません。中学校や高校の教科書には書かれていない事実があるのです。黒人女性たちの証言です。この黒人解放運動は白人たちに対するものであることは間違いありません。


 同時に黒人女性が、黒人男性たちからの暴力をなくす運動でもあったのです。女性差別ですね。つまり、人種差別の被差別者であるとともに、女性差別の加差別者でもあった人が、少なからずいたということです。


 フランスの人権宣言も、注意が必要です。 「人は生まれながらにして自由・平等」 とても人権感覚豊かな、すばらしい宣言ですね。フランス革命のときに出されたもので、世界的に有名です。


 ところが、この 「人」 とは、いったい誰のことを指しているのでしょうか。すべての人間ではありません。ずばり、白人であり、キリスト教徒を指しているのです。それ以外の人は除外されています。


 ということは、僕も除外されてしまうことになりますね。平等を求めた宣言が、実は別な意味で差別にもなっているのです。その証拠に、パリでは今でも黒人たちが就職差別を受けています。アメリカの独立宣言にも、よく似たところがありますね。


 人間は、一人一人違って当然です。得意なこと、苦手なことは誰にでもあり、何ら不思議でもありません。 「違い」 を 「違い」 として自然に受け入れ、楽しめるといいですね。差別意識から解放される人は、これができるようになった人だと思います。


 第5集は現代編で、歴史上の人物のほかに、僕自身が接触した人物が多く登場します。個人や地域、学校などの尊重のため、どうしても仮名を使うことが多くなります。あらかじめ、ご了解願います。


 大切なのは生きている今です。訪問者の皆様の 「今」 に少しでも役立つ記事が書けたら、とても嬉しいです。